WWDC目前 。あなたがまだ知らないアプリ開発の世界 #WWDC21
アプリ開発なんて遠い次元のこと、ではないのかもしれない。
今年のWWDCは6月8日開催ということで、すでに心がソワソワしている方も多いはず。そんなビックイベントに先駆けて3組のアプリ開発者へインタビューする機会をいただいたので、行って参りました。もちろんフルリモートで。
普段は会話する機会のない開発者のみなさんのお話を聞いていたら、アプリ開発なんてやったこともない私でも少し興味が湧いてきました。 みなさんとても楽しそうに仕事をされていて、WWDCを本当に楽しみにしているんです。
インストールするだけで臨床研究に参加できる「Heart Study AW」
最初に取材させていただいたのは、慶應義塾大学医学部と株式会社アツラエの皆さん。アップルウォッチを利用して心電図を測定する臨床研究を合同で行っています。 ちなみに、病院で測定するわけではありませんよ。
突然ですが、みなさんは体の調子が良いとき病院に行きますか?
いやいや行くわけないじゃん。そんな答えが聞こえてきそうですが、体が正常な時こそ心電図をはじめとするヘルスケアデータを取るべきなんだそう。隠れた病気のサインがあったりするんですって。
でも、具合が悪くないのに病院に行って測定してもらうのはちょっと面倒。そこで登場するのがアップルウォッチ。 アップルウォッチを使って自宅で測定し、正常時のデータを取っちゃおうというのが今回の研究内容なんです。
具体的な方法としては、
1.専用アプリ「Heart Study AW」をダウンロード
2.アップルウォッチを夜寝る時につける
3.朝、簡単なアンケートに答える
4.動悸などの症状がある時は記録する
このステップを踏むだけで勝手に心電図が測定されます。収集されたデータは病気の早期発見や的確な診断に役立てらるそうですよ。
ここでみなさん、何か思い浮かびませんか? 私はお話を聞いてからドラえもんの秘密道具「お医者さんカバン」が頭から離れないのですが。 私だけですかね。
カバンから飛び出ている聴診器を体に当てると診断が行われ、病名を言い当ててくれる優れものなんですよ。
アップルウォッチの進化が進み、心電図を取るだけでなく病名まで言い当てられるようになったら、まさに「お医者さんカバン」。なんだか夢があります。ワクワク感が満載でございますね。
このアプリ、特に年配の方にこそ使いこなして欲しいもの。病気の発症率は年齢を重ねるごとに上がっていきますから。
ただ1つ気になるのが、高齢の方はアップルウォッチなんて見たことも聞いたこともない人がほとんどなのでは、ということ。
そこで思い切って慶應義塾大学医学部・木村先生に質問してみるとこんな回答が、
「こんな機械があるんですよ」と紹介すると最初こそ「なんだこれ?」となりますが、使い始めると使いやすさに気づいて使い続けてくれる人が多いんです
なるほど。実家の祖母に勧めてみようかな。私もまだ持っていないので、先を越されるようで悔しいですが。
これからは アップルウォッチが私たちの家庭医に、そんな未来がすぐそこまできているのかもしれませんね。
LiDARをいち早く取り入れて話題になった「Effectron」
お次は株式会社アフェクションが開発したアプリ「Effectron」。LiDARスキャナが搭載されたiPhone 12 Pro / Pro Max、2020年モデル以降のiPad Proで使用可能で、身近な景色を宇宙、洞窟、SF空間に丸ごと変えることができちゃいます。
開発室の室長である金井さんはとてもお若く、頭の中では常に面白そうなことを考えている、そんな印象でした。去年のWWDCでLiDARスキャナ搭載が発表されると、いち早く機能を実装し「Effectron」を世に出した金井さん。
株式会社アフェクションは社員数10名という小規模な会社ながら、そのアプリの新規性から大きな注目を浴びています。
「Effectron」は専門的な市場での需要が高かったLiDARスキャナがより一般化していくための架け橋となった
なんてお話も出ていましたね。
もちろん、金井さんをはじめ、社員の方々の先見の明があってこその今回の評価だと思いますが、まだまだアプリ開発はブルーオーシャンなのではと感じずにはいられない一幕でした。
これはアプリ開発に限ったことではないですが、規模の大きさに関わらず、自分たちに出来ることかつ自分たちにしか出来ないことを見つけることができれば、やっぱり最強ってことですかね。
「彩えんぴつ」開発者が語るアプリ開発の喜び
最後の取材先はペイントアプリ「彩えんぴつ(いろえんぴつ)」の開発者である渡邉賢悟さん。現在は渡辺電気株式会社を経営するかたわら、東京工科大学で学生たちに開発のノウハウを教えられています。
「彩えんぴつ」はその名の通り、まるで色鉛筆で描いたような絵が描けてしまうアプリ。デジタルでありながらアナログと同じ質感が表現できる技術は驚きの一言。シンプルな機能もこだわりの1つとのことです。
多くのユーザーから愛用されている「彩えんぴつ」ですが、「フォトショップ」などの高機能アプリと比較して、使われ続けるのか不安になることもあったそう。そんな時に渡邉さんにユーザーから嬉しいメッセージが届きます。
他のペイントアプリを使うと綺麗な絵は描けるんですが、同時にすごく気合を入れて取り組まなければいけないので、絵を描くことに疲れることがあります。でも、「彩えんぴつ」を使っている時は絵を描きながらリラックスできます
この一言がきっかけとなって、他のアプリと共存できるアプリこそ自分が作るべきものなのではと確信を得た渡邉さん。
なんでもかんでも「大手で高性能で」が良いわけではなく、個人で作るからこそ実現できるものもあるとういことですね。とっても深いお話でした。
そんな渡邉さんから、アプリ開発者の卵の方々への言葉も頂戴しましたよ。
プログラミングってすごく楽しいということをまず第一に感じてほしいです。難しい、辛いと思う教材を最初から使う必要はないです。プログラミングの楽しさを1番に感じられる道筋を見つけて、楽しく自分の作りたいものに没頭してみてください。
私は卵でもなんでもないんですが、この言葉を聞いてなんだか妙にプログラミングに興味が湧いてきまして、「Swift Playground(スウィフトプレイグラウンド)」を秒で検索いたしました。
とここで、なぜ「Swift Playground」なのか。実は、「Swift Playground」が初心者にかなりおすすめな教材なんだそう。ゲーム形式でコーディングを学べるんですって。
ものは試しということで早速ダウンロード。キャラクターをプログラムで動かしながら、基礎を学ぶことができます。
とこんな感じでコーディングを学んでいきます。ステージはまだまだ続きますが、今回はここら辺で。
「Swift Playground」を使ってみて感動したのが、書いたコードの通りにキャラクターが動くこと。当たり前のことだけど、自分で実践して目の当たりにするとやっぱり感動です。プログラミングの喜びを少しだけ味わえた気がします。
まだ未経験の方はぜひお試しください。キャラクターが前に進んだり、左に曲がったりなどの単純な動作をするだけでも嬉しいはず。
私もすでにハマりそうな予感がしています。
使うだけじゃもったいない。開発者になってみませんか?
誰かの命を救うきっかけになったり、毎日のエンターテインメントになったり、癒しになったり。アプリは人々の生活を豊かにしています。でももしかしたら、自分が欲しいアプリを作ることが結果的に他人の生活を豊かにするのかも。
そして何より誰もが作る側になれる環境が意外と身近に揃っている、そう実感しました。
この夏も相変わらずおうち時間は長くなりそう。この機会にみなさんもぜひアプリ開発の世界に浸ってみてはいかがでしょうか?
WWDC 2021
開催日時:6月7日10時(日本時間6月8日2時)より全てオンラインで開催
閲覧方法:アップル公式サイト、Apple Developerアプリケーション、Apple TVアプリケーション、YouTubeなど
GIZMODO編集部でも追いかけていきますのでお見逃しなく!